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シングルマザーの会社員の日々の考えごと

旅の思い出~タオルと雨と東京タワー

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今朝、Googleフォトから、数年前の今日、ということで東京タワーの画像を紹介された。

コロナ禍ですっかり遠い街になったけれど、数年前は、子どもたちを実家に託して東京出張…など、遠出も度々あった。



東京はこれまでの人生で何度も行く機会があったのだけれど、その中でも一番心の中に残っているのは、小学校1年生の頃の家族旅行かもしれないな、と、Googleフォトの画像とテーマを見て、ずいぶん昔のことをぼんやり思い出した。



七歳の頃。
まだ両親は離婚していなかったけれど、もう一緒に住んではいなかった。
そんな中で、何故だか分からないけれど、突然母が東京へ行くと言った。
単身赴任の父に会いに行こう、と。


普段はなかなか着ないようなよそ行きの服で新幹線に乗り、東京を目指した。



東京駅には父がいた。



そして、みんなで上野動物園に行ったのだけれど、それはそれはものすごいどしゃ降りだった記憶がある。

父が売店で高いタオルを買い、体を拭いてくれた。
そのパンダのタオルは未だに実家にある。


その夜はどこかへみんなで泊まり、次の日はディズニーランドに連れて行ってもらった。

今日は晴れているね!と言っていたのに、急にまた滞在中にどしゃ降りの雨になった。

ディズニーランドでも父はタオルを買っていた。


タオルばかりおみやげに増える、と子どもながら思っていた。


そして、ディズニーランドの後で、単身赴任の父が暮らすアパートに行った。


そうしたら、何と上の階の人が何かをやらかしたらしく、部屋が水びたしだった。

父は家中のタオルをかき集めて拭いていたが足りず、しかも汚れて使えなくなったから…と、室内のどしゃ降りがおさまったあと、またもや近所でタオルを買っていた。



…2泊3日の旅で父は何枚タオルを買ったのだろう。
各所でため息をつきながらレジにタオルを持っていく父の姿ばかり目に焼き付いた旅だった。



きっと両親は、旅行中に別居後のその先のことを話そうとしていたのかもしれない。
私は、いつ両親が嫌な話を始めるのか、内心おどおどしながら同行していた。
でも、結果的に各所でどしゃ降りにあい、それどころではなくなった。


雨が大嫌いで怖い私なのだけれど、あの時だけは、絶妙な間のどしゃ降りが嫌な空気を流してくれていたな、と思う。


移動のどこかで見た東京タワーも、赤く大きくて、そして雨に濡れていた。


そんなこんなで、とにかく水難の相が出まくりの、その東京での家族旅行が、私の両親と行った最初で最後の家族旅行だった。



はてなインターネット文学賞「記憶に残っている、あの日」