昼間は何も見えない大雨の時間もあったが、夕暮れ、束の間のラベンダー色の空。
今日は自分でも驚くほど、心身がザワつく日だった。
夕方4時を過ぎた頃から、強烈に体がだるく、一体何が悲しいのか分からないけれど頭が重く、悲しく、思考が悪い方に、悪い方にと進んでいく。
体調不良?心身不調?
どうしても這い上がれない。
いつもペアで仕事をする同僚から「まーさんかなり顔色悪いです」と言われた。
別フロアの仲良しの同僚からも、「まーちゃん?どしたー?顔青いぞー」と言われてしまった。
実際にひどくだるかったので、定時でササッと上がった。
長男次男の習い事への送りを滞り無く終えて、夕暮れのラベンダー色の空を眺めたら、涙がポロポロボロボロ。
どうしちゃったのさ、私。
そして、どういうわけか、本当に突然、学生時代の後輩のことを思い出した。
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「まーさんみたいにかっこよくなりたいです!」
「私なんて、何にも上手くできないから、まーさんみたいに勉強もピアノも走るのもすごいの素敵だなーって!」
…そんなことを言ってくれた、2個下の後輩がいた。仮にここでは、あーちゃんと呼ぶ。
妹とあーちゃんが同級生だったので、時々3人で話をした。
色々と学校生活で悩みがあったあーちゃんの話を聞いて、ひたすら聞いて、「大丈夫」と励ました。それしか、当時の私は、解決の答えを思いつかなかったから。
大丈夫、大丈夫。
何かあったらいつでも聞くよ。
だから、大丈夫。そのままで。
我慢しなくて良い。
その後私は、親元を離れて遠くに進学したので、1年間、時々妹からあーちゃんの話を聞いたり、ごくたまにばったり会ったり、という位しか、関わる機会がなかった。
そうして卒業して1年経った春に、あーちゃんの訃報を知った。
彼女は自分で、未来を断ち切ってしまった。
原因は色々言われていたけれど、細かいことは敢えて書かない。ざっくり言えば、人間関係、だったようだが。
…私は彼女に何が出来ただろう?
…何にも出来なかった
…ちっとも大丈夫じゃなかったじゃん
当時、悔しさが募りすぎて、泣けなかった。
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…かなりの時が過ぎたのに、私は今も同じ。
私が色んなところで使う「大丈夫」は、何の役にも立っていないんじゃないか?
それしか言えない自分の歯がゆさとか、じっくり寄り添う余裕の無さ、ふがいなさ。
そして、甘えたいのに甘え方を知らない自分の未熟さや、強いフリして無力な自分。
周りに流され、寄る辺なく揺れる自分。
思い出と良く分からないネガティブと、体のだるさから来るやるせなさ、雨への怖さがないまぜになり、コントロールを失って大人げなく落ち込んでいた。
…それでも、母は浮上しなければならない。
そう思い直して、夕飯の支度やら洗濯やらを無理やり進めて、息子たちの宿題を丸付けした頃には、ちょっと気持ちが落ち着いた。
そして、色々終えて、さっき。
何気なく開いたスマホに、Ryuchellさんの訃報。
…夕方、本当に突然にあーちゃんのことを思い出したのは、何か不思議な勘が働いたからかもしれない。
一体何をどうシンクロさせてしまうのか分からないが、たまにこういう、嘘みたいな偶然のような、不思議な勘のようなものが働くことがある。
…心からご冥福をお祈りして、また空を見る。
生きている私には、明日がまたそろそろ来る。
生きている以上は、過去の苦しさ、悔しさ、悲しさも背負って、この先関わる人、物、事に、また誠実に向き合うことを繰り返す。
たとえ私が無力で大した価値がなくても、それでも良いから、周りの大切な人たちと向き合って、関わりながら、ささやかでも、何かイイコトを見つけたらラッキー。
ささやかでも、それで良いじゃない。
そしてまた明日に向かう。