遅くてもやらないよりまし

シングルマザーの会社員の日々の考えごと

本当のお別れの日

祖父の葬儀が終わった。



先週の土曜、祖父は農機具を動かして畑仕事をしていた。
「ここからは明日やる」と機械を次の日のために準備していた。

翌朝日曜はちょっとだるそうにしていて、だけどうちの母親が買ってきたあんパンを見て「それ美味そうだ」と半分食べ、ガリガリ君ソーダ味も食べた。

その夜高熱で入院して、だけど「退院する!点滴が終わったら家に帰る!」と息巻いていた。だから、お見舞いに行こうとした私にも「来るな!退院したら会えるから!」と母伝てに言っていた…ので、敢えて仕事を休まなかった。


水曜の夜中、延々苦しんでうなっていたのがふと止んで「みんないるのか…?いやぁ何だか眠たくなった」(実際はかなり訛っている)とつぶやいた。

「いいんだいいんだ、楽なときに寝るんだ」と周りに言われて、そうだなぁ、と眠りに落ちてそのまんま息を引き取ったらしい。


私は最期に会えなかったけれど、祖父が会いに来るなと言っていたのだから、それで良いんだと思った。

最後に会った祖父とは滞在中毎日相撲をテレビで観て、帰り際はやっぱりアルフォートミニをくれて、「またな!」と笑っていた。

その思い出があれば頑張れるような気がする。


葬儀のあれこれを手伝って、ふと台所に行ったら、ダイニングテーブルに、半分残ったあんパンと、「6月7日 はれ」の祖父の字のメモがあった。

そういえば、必ず祖父はその日の天気をメモして、その下に農作業や予定を書き付けていた。


その後ろには、土曜に脱いでかけたまんまの農作業用の服があった。

…突然だったんだなぁ、と改めて思った。


夕焼けの客間で遺影のそばでみんなでご飯を食べていたら、窓の外の坂道を、畑の方から一輪車を押して祖父が歩いてくるような気がしてならなかった。



ああ、じわじわ寂しい。