ピアノ。
念願の、リビングにピアノを置く生活ができるようになった。
楽器NGの前の家のときは、妹に一旦預かってもらっていた私のピアノ。
大学時代にバイト代を貯めて、それでも足りず初任給をちょい足しして四年越しで買った。
陽当たりの良い部屋で、ピアノを練習する時間は、それが5分だろうと、何だか楽しい。
昔4歳から11年間ピアノを習っていた。
その時は何一つ楽しくなかった。
発表会やコンクールでも、必ず同い年の人と比べられた。
親がピアノの先生と同級生で、何故かやたら対抗心を持っていた。
よその子は贔屓しているとか、うちの子は手抜きしているとか、いつも理不尽な文句を言っていて、ちっとも楽しくなかった。
でも、実際に贔屓はあった。
コンクールのお知らせは、先生が渡したい人だけに渡していたし、発表会の曲も、選択権がある人とない人がいた。
「あなたは選ぶ権利ないのよ?」みたいに言われている子がいたっけ。
その教室は今はもうない。
あまり良くないことをしていたのは本当だったらしい。やめてから知った。
でも、そういうゴタゴタや巧拙はともかく、好きな曲を弾いている時間は好きだった。
自分の手で曲を紡げる楽しさ、改めて思いだした。
大人になって、改めて、弾きたい。楽しく弾きたい。
当時すごく厳しくやらされた絶対音感もどきの訓練はおかげさまで少しだけ生きていて、鬼滅の刃の紅蓮華をテキトーに耳コピしたら、子どもたちに崇め奉られそうな勢いで褒められた。
おしえておしえて!と頼まれ、しばし遊んだ。
長男は学校で鍵盤ハーモニカが大嫌いらしいのだが、そういう楽しさもあると少し知ってもらえたなら、何よりだ。
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