空き時間が出来たので、亡くなった祖父のことをまた書いてしまう。
私は中学卒業と同時に、実家を出た。
高校は下宿しながら通った。
ホームシックになって時々帰省したとき、祖父は帰り際に必ずアルフォートミニをくれた。
汽車の中でけぇ!(食えよ)と。
電車の中で食べて、寂しくって寂しくってポロポロ泣いた。
そして、長男が生まれて、産後の肥立ちが悪くてしばらく帰省したときも、次男が生まれて初めて泊まりに行ったときも、元夫から逃げるように3人で大晦日に帰省したときも、帰り際になると必ず、あの青くて平べったい、アルフォートミニの箱をくれた。
帰りの車でけぇ!と。
途中休みながらいけ!と。
子どもたちが少し大きくなってからは、私ではなく、子どもたちに一箱ずつくれた。
ケンカしないでけぇ!でも、1個くらいは母さんにもけろよ(=あげなさい)!と。
だから、私たち親子は、アルフォートミニを見ると同時に祖父が浮かぶ。
おじいさんの青い箱、と子どもたちは呼ぶ。
小さな四角の、舟の絵が描かれたチョコレートの甘い味。
いつだって、あの四角を噛んでいると、泣きたい気持ちも寂しい気持ちも少しだけ落ち着く。
祖父も、私たちを見送ったあと1個齧って、「騒がしいのが帰ると静かになったなぁ」とつぶやいていたよと、母から聞いた。