今日はちょっとだけ、お金に絡む話。
あれは大分前のこと。
普段滅多に鳴らないインターホンが鳴り、モニター越しに応答したら、住宅業者の営業の人だった。
少しでもお話を出来れば…、という。
まだ家を買うことは考えていなかったので、インターホン越しにやんわりとお断りしたが、食い下がってきた。
インターホンを切っても良かったのだが、どうも小心者でそれが出来ないたちだ。
営業の人「奥さまはお仕事をされていますか?」
私「はい。」
営業の人「そうですか。共働きであれば、そろそろおうちを、という時期かもしれませんね。お子さんは何人いらっしゃるんですか?」
私「2人ですが」
営業の人「では、旦那様は?」
私「うちは私と子どもだけで、3人です」
営業の人「ご離婚ですか?」
私「ええ」
営業の人「さようでございますか。奥さまだけということであれば、ローンも審査は厳しいでしょうし…きっとおうちを建てるという話にはならないかとは思いますが、一応、チラシは郵便受けにいれていきますね。では」
…
……
………
は?
その時はそれほど気に留めなかったのだが、あとからジワジワ腹が立った。
「ご離婚」って。「ご」をつければ丁寧になると思ったのだろうか。そもそも離婚か死別かは住宅営業に必要な情報なのだろうか。
……それ以来、住宅営業の訪問は、名前を聞いただけで門前払いしていた。
前置きが長くなったけれど、お金の話。
シングルマザー=貧困層、というイメージはやはり相当に根深い。
「生活苦しくないー?」「大変でしょう」とかなりの確率で聞かれるし、相手からの「何か聞いちゃいけないこと聞いちゃってごめんなさい」という空気に、こちらが申し訳なくなる。
しかし……
一応人並みに生活はしている。
私自身が、母子家庭でものすごく貧乏な家に育った。
その中で、「知識と教養、器量をつけて、万が一夫がいなくなっても、大黒柱として生きていける人間になろう」と、当時の大人を見て決意した。
みんな「どうせ貧乏は末代まで貧乏」みたいな劣等感があったのが嫌だったから。
その結果、慎ましくはあるものの、少なくとも明日の食べものはとりあえず確保された生き方が出来ている。
それでもなお、自信は無い。
自分の家計のやりくりはきちんと出来ているのか?
子どもたちが、お金のせいで何かを諦めるようなことが起きやしないか?
今は良くても、少し先の未来、大丈夫なのか?
リスク回避策は正しいのか?
……答えなんてないけれど、漠然と不安になることもある。
冒頭の住宅営業の人は随分と失礼だとは思うけれど、まあ、世間のイメージなんてそんなもの。
それをさらっと笑い飛ばして覆せるような強さがもっと欲しいと思う。