今週のお題「やったことがあるアルバイト」
学生時代は、どん底のときは主食がもやしとパンの耳だった程の苦学生だったので、色んなアルバイトをしたことがある。
塾の先生とか、イベントの着ぐるみの中の人とか、大学の研究室の学会のアシスタントとか。
単発の時給が高いバイトを繰り返して、食いつないでいた。
シフト勤だと、学業がおろそかになりそうだったからだ。
そんな私がやったアルバイトの中で、一番心に残ったのは、大晦日と元日のシャリ担ぎ。
とあるお店で、大晦日と元日に店頭に並べるお寿司と、予約注文のお寿司を作る、深夜0時から朝7時までの短期アルバイトを募集していた。
当時ハタチの私は、時給につられ、冬休みだから深夜でもどうにかなると思い、楽観的な思いで求人に応募。サクッと採用された。面接もなしに。
短期バイトだから面接もないのだなぁと思い、まぁ2日だけだから、と、のん気に構えて出勤した。
そしていざ行ってみたら、私の仕事は、一升ずつの塊になっている酢飯を担いで飯台へ入れてほぐし、そこからそれをシャリマシーンに手袋をして手ですくって、担ぎ上げるように入れていくという、なかなかの肉体労働だった。
シャリにネタを載せて握って盛り付ける、みたいな、いわばお刺身にたんぽぽを乗せるようなイメージだったのに!(※あれはたんぽぽでは無いことを知った上で書いています。ネットスラング的な。念のため)
ふと周りを見ると。
シャリ担ぎは全員男性。私以外は。
寿司の握りと盛り付けは全員女性。
そこで話を聞いたら…
私の名前の字面が男性とも読めるもので、履歴書の写真もベリーショートだったので、採用担当の人が、性別を良く見ず、男性と判断して採用したとのこと。
既に男手の頭数としてシフトが組まれているので、持ち場を変えられないということ。
つまり、2日間、男性並みの労働力を求められているということ。
正社員の人たちは何やら困っているし慌てているし、今から追加の人手なんて…みたいに言っている。
それを見て、「男手のそれには足りないかもしれませんが働きますので、お仕事教えてください」と思わず言ってしまっていた。
最初は躊躇していたが、全然気にしないとはっきり態度で示して、結局そのまま、男の人の中で仕事をすることとなった。
重たいでしょ?大変でしょ?と周囲は度々気遣ってくれたが、思ったよりも辛くなかった。
むしろ男性陣よりシャリを担いでいた、とまで言われた。苦笑
私はそもそも色んなアルバイトをしてきて、こき使われるのに慣れていた。
全身タイツに着ぐるみで真夏のイオンを愛想を振りまき何周もする(東北6県あちこち行った。バスで。)
某塾で、100枚近い算数のプリントを7分で暗算で採点する
炎天下の中でソフトクリームを売りさばく
…この他結構過酷なことを繰り返していて、短期のアルバイトが求められていることへの悟りが開かれていた。(さすがに限度はあるけれども。)
だから、一升の米ごときでは、まだ、何とも無かった。
確かにシャリを担ぐのは重かったが…肉体労働の方が多分性に合ってよかったのではないかと、思った。
だって、眠いんだもの…深夜なんだもの…真冬で寒いし…外マイナス8度くらいだったし…
生まれて初めて夜勤を経験したけれど、あれは辛い。
世の中の数ある仕事で、夜勤に従事する方々への敬意が溢れそうになった。
みんなが寝静まる時間、体も寝ようとする時間に、体内時計にムチを打って働く方々のありがたさを実感したアルバイトだった。
そして、やはり男性に間違えられるのは良くない気がしたので、次回からは履歴書の写真を撮るとき、少しはっきり化粧したり、何らかの女性らしさを出すことを努めようと、思った。
…そして賄いでもらったお寿司は美味しかった。